確認は続けていました コメントは受け付けていません。

先生と電話をしたあとも、出会い系サイトの確認は続けていました。バドさんからのメールが来ていないかをチェックするためです。何度見ても、バドさんからの返信はありませんでした。次第に彼女はバドさんとの出会いを諦め始め、先生との関係を深めていこうと思うようになりました。先生との出会いはどんどん親密なものに発展していき、彼女の毎日は見違えるように明るくなりました。

洋服も、以前は暗い色のものを着ることが多かったのに、パステルカラーのものを好むようになりました。年下の男性なので、少しでも自分を若く見せたいという思いがあったからです。そして、あれだけ通っていたお弁当屋さんに行くことも少なくなり、自炊が増えました。女性らしさを磨こうと、無意識のうちに思っていたのかもしれません。そして、先生から、実際に会うことの誘いがありました。

彼女はもちろん承諾し、次の土曜日のお昼に、ショッピングモールで待ち合わせをすることになりました。前日にはパックをし、買っておいたお気に入りの黄色のニットを着て出かけることにしました。二人は軽く雑貨などを見たあと、ショッピングモール内のカフェに入りました。彼は好青年、という表現がとても似合う男性でした。社交辞令かもしれませんが、彼は彼女のことを、年齢よりも若く見える、と言ってくれました。

帰り際に彼は、来週の土曜日にまた会いませんか、と彼女を誘いました。自宅に帰ってから、彼女はカレンダーに赤いペンでマルをつけました。もちろん来週の土曜日です。一つの出会いが、無機質なだけのカレンダーを、彼女の希望の光のように変えてくれたのでした。

携帯電話 コメントは受け付けていません。

先生からのお誘いを承諾した彼女は電話番号をメールで伝え、明日の夜であれば時間がとれることも重ねて伝えました。彼女がメールを入れるとすぐに、先生から、明日かけます、というメールがありました。電話で話すくらい普通のことなのかもしれませんが、彼女にとっては違いました。バドさんとの最初の出会いのときと同様、何を話そうか、といろいろ考え、メモ帳に話す内容を箇条書きにしてみました。

ベッドの中でも、イメージトレーニングが延々と続けられました。次の日の仕事が終わると、出会い系サイトを確認したあと、休日に作り置きしていたカレーを食べながら、テーブルの上に携帯電話を置きました。いつ着信があってもすぐにとれるように、常に視界の隅に携帯電話がある、という状況にしておきました。

彼女がカレーを食べ終わり、汚れたお皿を流し台に持っていこうと立ち上がった瞬間、携帯電話が鳴り始めました。彼女はいそいで流しの水桶の中にお皿をつけると、大きく深呼吸を一度してから、電話をとりました。先生の声は、とても優しく穏やかで、とても年下とは思えませんでした。小学校低学年を担任しているようで、こども向けの声が染み付いているのかも、と言って笑っていました。

彼の学校は、彼女の学校からは少し離れていましたが、それでも名前くらいは知っていました。学校のこと、発表会のこと、同じ職業だからこその話題は尽きませんでした。バドさんのように、相手を楽しませる話術を持っているわけではありませんでしたが、彼女の話をゆっくりと聞いてくれる暖かさがありました。彼女は先生との出会いに、感謝しました。

気持ちを切り替えることに コメントは受け付けていません。

バドさんと実際に会ってから、彼女には不安に思うことがありました。あったその日にお礼のメールをしたのに、その後、返信がないのです。もしかしたら、自分のことを嫌に思ったのかもしれない、と思うと、やりきれない思いになりました。仕事に向かう電車の中でもメールの確認をしましたし、お昼休憩の少しの間にもチェックをしました。

出会い系サイトを紹介してくれた友人に相談してみると、よくあることだ、と一蹴されました。そうなのか、と一応の納得はしてみるものの、気持ちは晴れません。とりあえず、一週間くらいは待ってみよう、と無理やりに気持ちを切り替えることにしました。

メールの交換を続けていたもう一人の男性とのやりとりも、頻繁にしていました。同じ小学校教師同士、イベントごとなどが重なるので、お互いにアドバイスや愚痴などを話すことができました。バドさんとの連絡が滞っていたので、その分、先生との交流が密になりました。

ある日、先生から、電話で直接話してみませんか、と誘われました。正直、実際に会ってどのような人か確かめる前に携帯電話の番号を教えてしまうのには抵抗がありました。悪い人ではないはず、という気持ちとは裏腹に、出会い系サイトで起きた、いろいろな悪い事件も頭をよぎりました。

ただ、バドさんと会ったことで、出会い系サイトに対する警戒心が少し薄れてきていた彼女は、電話番号くらいなら、と思い直しました。実際に会うことよりも、もしかするとリスクは小さいのかもしれない、という思いもあったのです。

緊張していたのに コメントは受け付けていません。

会う前にはあんなに緊張していたのに、実際に会ってしまうと、すぐに打ち解けることができました。バドミントンを間に挟んでいたからかもしれませんが、楽しく時間を過ごすことができました。二時間ほど体を動かしたあと、二人は近くのカフェでお茶をすることにしました。

彼は彼女よりも長い間、出会い系サイトを利用しており、実際に会ったのも、彼女で三人目でした。「何度目でも、やっぱり緊張はするけどね。」と言って、彼は恥ずかしそうに笑っていました。初めてではないからなのかもしれませんが、なんだか少し、出会い系サイトで会う女性に対する接し方が慣れているように感じました。

仕事の話や、趣味の話、バドミントンの話など、営業マンだからなのか、とても話術に長けた男性でした。最初の出会いから数週間、実際の出会いから数時間しかたっていないのに、まるで緊張せずにいられました。容姿はイメージ通りではなかったものの、彼女はバドさんに対し、とても好感を持ったのです。

そしてその日はそのまま自宅へ帰りました。別れ際が難しい、と思っていた彼女でしたが、意外とすんなりと帰ることができました。バドさんがそんな気持ちを察して、帰りやすくしてくれたのかもしれません。そんなところも、彼女にとっては高評価するべきポイントでした。

その日の夜、彼女はバドさんにお礼のメールを入れました。自分の携帯電話のアドレスや番号を教えようか、と迷いましたが、聞かれるまではやめておこうと思いました。バドさんは私のことをどう思っただろう、と考えながら眠りにつきました。

思い描いていたイメージ コメントは受け付けていません。

会う約束をした日の前日は、緊張してなかなか寝付けずにいました。どんな人なんだろう、という思いはもちろんのこと、自分の顔を見て失望されたりしないか、ということも不安に感じていました。メールだけの間柄だとはいえ、出会い系サイトで出会い、少しは気心が知れる仲になったつもりです。それだけに、相手の抱く自分への印象がとても気になってしまうのでした。

待ち合わせは彼の住む家の近くにあるという、体育館の入口でした。メール交換をする相手を、自分の近くに地域の人、と思い探していた彼女でしたが、思いの外住んでいる場所が近いようで驚きました。職場の仲間との練習試合などで、彼女も使用したことのある体育館だったからです。もしかすると、出会い系サイトで出会う前にも、会っていたのかもしれないと思うと、なんだか嬉しくなってきました。

待ち合わせはわかりやすい場所だから、ということもあり、当日の服装だけメールで伝え、携帯電話のアドレスや番号は教えずにおきました。まだ、彼女の中に警戒する気持ちが残っていたということなのかもしれません。待ち合わせの時間の少し前に彼女が体育館の入口に到着すると、バドさんらしき人が、もう待っていました。少し背は低めで、思い描いていたイメージよりは、少しだけ老けて見えました。

黒い大きなバッグの中から、バドミントンのラケットの柄が、飛び出ていました。「こんにちは、バドさんですか?」と彼女が声をかけると、彼は彼女の顔と服装を少し目で確認したあと、にっこりと笑い、頷きました。

順調に続けられました コメントは受け付けていません。

一人の男性とのメール交換を断ってからも、残りの二人とのメール交換は順調に続けられました。その間も、出会い系サイトのマイページには新しい男性からの申し込みメールは届いていましたが、とりあえずは目を通すだけにしておきました。交流を持つ人数が増えていっても、全員に対してきちんと接することは難しいと感じたからです。

もちろん、出会い系サイトという出会いの場だからこそ、どんどん新しい男性との付き合いを広げていくべきなのかもしれません。しかし、彼女はそんなに器用に立ち回ることはできませんでした。もし今いる男性に好意を持ってもらえなかったとしても、また次の出会いはあるはず。そう思えるだけで、彼女にとっては十分でした

バドさんは、隣の市でメーカーに勤めるサラリーマンでした。営業の仕事をしているようで、仕事が終わると必ずメールをくれました。だんだんと打ち解け始め、メールも敬語ではなくなり、弱音を吐くこともできるようになりました。月に数回、バドミントンを仲間内でしているようで、それに誘われることもありました。

最初のうちは彼女の仕事が忙しかったこともあり、せっかくのお誘いを断ることが多かったのですが、仕事も落ち着き、一緒に行ってみようと思えるようになりました。初対面であっても、一緒にスポーツをしていれば気まずくなってしまうこともないだろう、と思ったのです。「来週でも、一緒にどう?」という誘いに、初めて彼女は、行きたい、と返信しました。

頭を抱えることに コメントは受け付けていません。

シビックさんからのお誘いがあった後、彼女は真剣に今後のことを考えてみることにしました。最初は、男性からのファーストメールが来るだけで驚いていた彼女でしたが、だんだんと毎日受信があることに慣れてきました。つまり、自分と本当に気が合うと思える人との出会いを選ぶことができるのだ、と思えるようになったのです。

結婚をも見据えている彼女だったので、できるだけ妥協はしたくありませんでしたし、年齢的にもゆっくり時間をかけて探すつもりもありませんでした。3人の中で一番フィーリングが合う、と感じているのは、先生に対してでした。同じ職業だということがやはり大きいようで、同じ悩みを持っていたり、同じような仕事を抱えていたりすることもありました。逆にシビックさんとは、あまり会話がつながらないように感じていました。

シビックさんの、相手に合わせようと気を使いすぎるところが、ありがたい反面、とても堅苦しくなっていっていたのです。将来のことを考え、今の段階で、シビックさんと恋人を前提とした付き合いはできない、と彼女は判断しました。彼との出会いはとても大切ではあるものの、彼女は、彼と会うことだけでなく、メールの交換自体もお断りすることにしました。

実際に会うためのお誘いがきっかけで、出会いが終わってしまうことがあるんだ、と彼女は少し寂しく感じました。ただ、どのようにして断ろうか、とまた彼女は頭を抱えることになってしまいました。

毎日はとても充実している コメントは受け付けていません。

メールの交換を始めてから、彼女は、携帯電話でも出会い系サイトを利用するようになりました。通勤中の電車に揺られながらメールをチェックすることもできましたし、トイレに入っている数分間の間にメールを送信することもできました。学校で仕事をしている傍らで、出会いも着々と先に進んでいるんだ、という実感があり、彼女の毎日はとても充実しているように感じられました。

何度かメールの交換を進めていく上で、当たり前のことではありますが、3人ともそれぞれ違う人間なんだ、ということを改めて感じるようになりました。同じような内容のメールを入れても、それぞれに反応が全く違います。一番きっちりとしているのは、教師である、先生でした。バドさんは少しルーズなところがあるようです。シビックさんは、気を使いすぎる面が垣間見えました。

三者三様、特に不満があるわけではありませんでしたが、彼女はそれをおもしろい、と思っていました。そしてそれが、出会い系サイトの利用者が増える要因になっているのかもしれない、とも思いました。それぞれの男性の性格を自分で分析してみては、容姿や服装を想像してみるのが、彼女の日課になっていきました。メールの交換を始めて数日たった頃、シビックさんから、会いませんか、というお誘いがありました。

会うことに対する抵抗がまるでない、とは言いませんが、恋人を見つけるための出会い系サイトだったので、実際に会わないことには何もならないということは分かっていました。それにしても、少し早すぎるのではないか、と彼女は感じていました。

気持ちを伝えようと思いました コメントは受け付けていません。

最初、メールの交換を始める前に、彼女は全員に対してできるだけ誠実であろうと心に決めていました。だからこそ、メール交換をやめる、ということにも、相手に誠実に伝えなければいけない、と思っていました。出会い系サイトを利用している友人に聞くと、何も言わずに返事のメールをするのをやめる、という方法もあるようです。

もちろん、自分のメールアドレスを相手に教えているわけではありませんし、男性が住所を知っているわけでもありません。しかしその方法は、相手に対して失礼なのではないか、と彼女は思いました。出会いに対してあれだけ感謝したのだから、やめるときもマナーを守らなければ、という思いがありました。

いろいろ考えた結果、彼女は正直にシビックさんに自分の気持ちを伝えようと思いました。「今までメールの交換をしていただいてありがとうございました。お誘いくださった後でお断りするのは心苦しいですが、私の好みとは少し違うかもしれない、と思うようになりました。こんな気持ちのまま続けていくのは失礼だと思います。お互いに、また良い人を見つかるといいですね。」

一つの出会いが終わってしまった、と送信完了したあと、彼女は少し感慨深くなってしまいました。このような感覚にも、次第に慣れてくるのかもしれません。しかし、今は大きな寂しさとともに、自分が男性との出会いを、現実に進展させていっているような気持ちになりました。そして、残る二人の男性との関係を、大事にしていこう、と改めて思うのでした。

感激したのでした コメントは受け付けていません。

メールを返信することが終わった彼女ですが、実は、二日目にも驚くべきことがありました。初日にあれだけ多くの男性からアプローチのメールがあったにも関わらず、次の日にもほぼ同じくらいのメールの受信があったのです。出会い系サイトがもたらしてくれる、出会いのきっかけの多さにも驚きましたが、何よりも、まだ自分が女性として受け入れられているという事実に感激したのでした。

結局彼女は、二日間にきた大量のメールの男性の中から、3人を選びました。その3人との出会いを、先に進めていこう、と彼女は意気込みました。一人目は、彼女より年上の、38才の男性でした。月並みな趣味ですが、ドライブが大好きだった彼女は、同じ趣味を持ち、同じような場所によく行く、と言っていた彼となら、素敵な週末が過ごせるのではないかと思ったのでした。ホンダのシビックが愛車だという彼のことを、彼女はシビックさん、と呼ぶことにしました。

二人目は、彼女と同い年の男性でした。彼は、彼女が学生のとき以来ずっと続けてきたバドミントンが趣味、ということに惹かれました。そして何より、メールの文面から、とても物腰の穏やかな人なのだという印象を受けたことが決め手になりました。バドさん、と呼ぶことにしました。三人目は彼女より年下の、32才の男性でした。なんと彼は、彼女と同じ小学校の教師でした。

同じ職業であれば、積もる話もあるでしょうし、実際に会う段階になっても、予定が合いやすいかもしれません。彼女は彼のことを、先生、と呼ぶことにしました。